★1961年 トヨタ パブリカ トヨタ初の大衆車 ~ 自動車カタログ棚から 195 | ポルシェ356Aカレラ

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★大衆乗用車の発売はトヨタ創業以来の目標であった。1956年(昭和31年)より試作が開始され20台以上の試作車を経て最終試作車が1960年(昭和35年)10月25日から開催された第7回東京モーターショー(当時の正式名称は全日本自動車ショウ)に展示された。
モーターショー展示と同時に車名の公募キャンペーンが行われ、翌1961年(昭和36年)6月30日より「パブリカ」の名称で市販に移された。車名はパブリック+カー(Public car)の合成語であり、文字通り大衆車を表わしていた。シンプルかつ質素な内外観と必要最低限の装備を備えて38万9000円という低価格で発売されたパブリカであったが、初めはトヨタの目標であった月販3000台には遠く及ばなかった。不振の原因は乗用車に夢を求めていた当時の日本の購買層の心理とのズレにあったと言われ、似たような価格帯であれば各種優遇措置のされた軽自動車の上位グレードに顧客の目が向いてしまう状況にあった。市販開始から2年後の1963年(昭和38年)7月に内外観を豪華にしたデラックス・グレードが追加されると、バン等の商用車も含めたパブリカの月販は7000台を突破するという大ヒットとなった。パブリカのヒットは1966年(昭和41年)の初代カローラ発売に際しての販売の地盤固めともなった。

★自動車史研究の第一人者であった五十嵐平達氏はパブリカについて次のように著書に記している。
パブリカは試乗してみると長年研究しただけあって完成されており、乗って楽しく好感の持てる車であった。トヨタはパブリカ・デラックスの発売により大衆が自動車に求めている観念的なものを具体化することによりパブリカの不振を挽回した。
パブリカは1963年(昭和38年)10月にコンバーチブルを追加、1962年および1964年の東京モーターショーにパブリカ・スポーツとして展示されたプロトタイプを改称したトヨタスポーツ800(UP15型)を1965年(昭和40年)4月に発売、1966年(昭和41年)4月にはビッグマイナーチェンジを受けてUP20系に進化した(別項にて紹介予定)。


【主要スペック】 トヨタ パブリカ (UP10型)
全長3520㎜・全幅1415㎜・全高1380㎜・ホイールベース2130㎜・車重580kg・FR・U型空冷水平対向2気筒697cc・最高出力28ps/4300rpm・最大トルク5.4kgm/2800rpm・変速機4速コラムMT・乗車定員4名・最高速110km/h・販売価格38万9000円


●1961年6月 トヨタ パブリカ 広報写真 (縦16.5×横25cm)
$ポルシェ356Aカレラ-広報写真


●1961年6月 トヨタ パブリカ 本カタログ (縦24×横26cm・12頁分)
トヨタ・カタログNo.700。パブリカ最初の本カタログ。このパブリカ・デビューカタログはトヨタ博物館の復刻版も出ている。パブリカのカタログ等の宣材は膨大な種類が発行されており全てを網羅することはなかなか難しい。今回は資料性の観点から手元にあるカタログの表紙画像を中心にご紹介します。
$ポルシェ356Aカレラ-616表紙
中頁から
このサーモンピンクが初期パブリカのイメージカラー
$ポルシェ356Aカレラ-616中(1)
U型28ps空冷エンジン。トヨタの空冷は現在に至るまでこのクルマだけ。
$ポルシェ356Aカレラ-616中(2)
スペックおよびボディカラー
当初のボディカラーはアイボリー・ブルー・ピンク・グレイの4色
$ポルシェ356Aカレラ-616中(3)スペック&カラー


●1961年?月 トヨタ パブリカ 本カタログ (縦24×横26cm・12頁分)
トヨタ・カタログNo.700。デビューカタログと表紙も中頁の写真も入れ替えられているがカタログナンバーはデビュー版と同じ。
$ポルシェ356Aカレラ-61湖
中頁から
$ポルシェ356Aカレラ-61湖中頁ピンク


●1962年? トヨタ パブリカ 本カタログ (縦24×横26cm・16頁)
3桁のカタログNoが消え、裏面には「C-16」の印字。ボディカラーからブルーが消え代わりにグレイ系が2色に増えた。
$ポルシェ356Aカレラ-62黒


●1962年10月 トヨタ パブリカ 本カタログ (縦24×横26cm・16頁)
裏面には「C-46」の印字。オートマチック「トヨグライド」追加。
$ポルシェ356Aカレラ-6210草原
オートマ「トヨグライド」
$ポルシェ356Aカレラ-6210中オートマ


●1964年5月? トヨタ パブリカ 本カタログ (縦24×横26cm・16頁)
デラックス追加後のカタログ。表紙に1964年日本グランプリ400~700ccクラス パブリカ優勝の金のシールが貼られているので、配布時期は早くても1964年5月以降。
$ポルシェ356Aカレラ-64デラックス


●1964年8月 トヨタ パブリカ 本カタログ (A4判・21頁分)
最高出力を32psにアップ。最高速は110kmのままで変わらず。
$ポルシェ356Aカレラ-648あひる


●1965年3月 トヨタ パブリカ 本カタログ (A4判・21頁分)
$ポルシェ356Aカレラ-653夕日


●1965年10月? トヨタ パブリカ 本カタログ (A4判・20頁)
表紙に「日本の国民車・パブリカ生産30万台突破」の金シール。
$ポルシェ356Aカレラ-6510最終


●1961年? トヨタ パブリカ 簡易カタログ (縦17×横21cm・2つ折4面)
パブリカの簡易カタログは膨大な種類が発行されており全貌が把握しにくい。
$ポルシェ356Aカレラ-61簡易


●1962年? トヨタ パブリカ 簡易カタログ (縦17.5×横24.5cm・3つ折6面)
$ポルシェ356Aカレラ-62簡易・歩道


●1963年? トヨタ パブリカ 簡易カタログ (縦24.5×横17.5cm・3つ折6面)
$ポルシェ356Aカレラ-63簡易・階段


●1964年? トヨタ パブリカ 簡易カタログ (縦24.5×横17.5cm・3つ折6面)
$ポルシェ356Aカレラ-64簡易デラックス


●1965年? トヨタ パブリカ 簡易カタログ (縦24.5×横17.5cm・3つ折6面)
$ポルシェ356Aカレラ-65簡易・走行場面


●1977年2月発行 トヨタ パブリカ 本カタログ (縦29.5×横24.5cm・16頁)
パブリカの車名は1978年(昭和53年)2月に1300スターレットのデビューと共に消滅するが(トラックは80年代まで存続)、これは最後のパブリカ(乗用車)のカタログ。最後の晩餐のように歴代パブリカが表紙に並びトヨタ自らがパブリカとの別れを惜しんだ。
$ポルシェ356Aカレラ-77最終




★オマケ(その1): 1963年トヨタ パブリカ トヨグライドオートマ テレビCM



★オマケ(その2): 1964年トヨタ パブリカ デラックス テレビCM



★オマケ(その3): バンダイ1/17スケール1961年トヨタ パブリカ
全長21.5cm。バンダイ品番839。当時定価: 都内180円・全国200円。実車の発売とタイムラグなく発売された製品。実車通りのアイボリー・ブルー・ピンク・グレイの4色の他、赤ルーフ・クリームボディ、クリームルーフ/赤ボディ・クリームルーフ/青メタボディ等のカラーバリエーションが確認されている。後にハンドル・リモコン仕様となりノーマル以外に警視庁パトカーも発売された。
$ポルシェ356Aカレラ-バンダイ(1)
$ポルシェ356Aカレラ-バンダイ(2)
$ポルシェ356Aカレラ-バンダイ(3)


★オマケ(その4): アサヒ玩具1/20スケール 1961年トヨタ パブリカ
全長18cm。アサヒ玩具品番3588。当時定価:全国130円。カラーバリエーションはピンク・ブルー・アイボリー等。製品はそのままで後に箱絵のみパブリカデラックスに替えらている。
$ポルシェ356Aカレラ-アサヒ(1)
$ポルシェ356Aカレラ-アサヒ(2)
$ポルシェ356Aカレラ-アサヒ(3)


★オマケ(その5): モデルペット1/42スケール 1961年トヨタ パブリカ
全長8.5cm。モデルペットNo.14。アサヒ玩具1961年11月発売。当時定価180円。当時物では唯一のダイキャスト・ミニカー。
$ポルシェ356Aカレラ-モデルペット(1)
$ポルシェ356Aカレラ-モデルペット(2)


★オマケ(その6): トヨタ特注 1/25スケール 1961年トヨタ パブリカ プラモデル
全長14cm。パブリカは通常のアンチモニー製シガレットケースも出ているが、それとは別に恐らく当時ディーラーで配られた出来の良い販促用プラモデル。ルーフがスケルトンなのが面白い。販促モデルとしては他にポリ製の貯金箱も出ている。
$ポルシェ356Aカレラ-特注(1)
$ポルシェ356Aカレラ-特注(2)
$ポルシェ356Aカレラ-特注(3)
箱の裏側に組立説明図が印刷されている
$ポルシェ356Aカレラ-特注(4)


★オマケ(その7): 大滝製作所1/21スケール 1961年トヨタ パブリカ プラモデル
全長17cm。当時定価:不明(調査中)。国産プラモデル黎明期の製品。銀座を走るパブリカの箱絵(ボックス・アート)が秀逸。
$ポルシェ356Aカレラ-大滝プラモ


★オマケ(その8): 青島文化教材社1/21スケール 1961年トヨタ パブリカ プラモデル
全長16.5cm。当時定価:不明。箱には「カラープラスチックモデル」のコピー。下手だが何とも味のある箱絵。パブリカは他に三和模型からもプラモデルが出ていた。
$ポルシェ356Aカレラ-青島プラモ


★オマケ(その9): フジヤのなかよしえほん「のりもの」
B5判・12頁。東京文京区初音町の富士屋書店発行。秋吉文夫・画。表紙はパブリカと名鉄パノラマカー。パブリカのナンバーが1962と書かれていることから、1962年頃の発行と思われる。
$ポルシェ356Aカレラ-絵本パブリカ


★オマケ(その10): パブリカと私のセピア色の写真
1966年11月13日撮影。パブリカの前に帽子を被り黒いタイツを履きセーターを着て立っているのは7歳になったばかりの私。普段よりちょっとオメカシして出かけるところ。パブリカの年式は不明だがサイドモールとフロント・サイドマーカーが付いているので1963年以降のデラックスか。これは私の家のクルマではなく親戚か知人所有だったクルマ。
$ポルシェ356Aカレラ-セピア写真66年